SEOをやめよう

はじめに

SEOとはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略でサーチエンジンの上位に自分のWebページが表示されるように工夫すること。また、そのための技術(SEO:e-Words)を意味します。いわゆる「検索エンジン対策」です。昔は検索エンジン対策と言ってもYahoo!に登録するか相互リンクをするかランキングやWebRingに参加する以外に方法がなかったのですが、SEOはそれに代わる新しい技術として数年前から注目されています。しかし、私はこう言いたい。SEOをやめよう

何でこんなことを言い出したかというと、SEOという言葉が独り歩きしていてHTMLを誤解する人が増えているからです。以下では、SEOがなぜまずいのかを説明します。

SEOはなぜまずいのか

一口にSEOと言っても実際は様々なのですが、最もポピュラーなのは検索エンジンに合わせてHTMLをいじる方法です。例えば、検索結果として拾われたい単語やフレーズを、強調を表すem要素を使って<em></em>で囲みます。こうすると囲まれた部分は重要な記述だと検索エンジンに認識されるので、検索結果で上位に表示される可能性が高まるのです。

しかし、この考え方はHTMLの根本原理と明らかに矛盾しています。HTMLは文章の役割や機能を明示するために使う言語だからです。例えばこんな文章があったとします。

今日は暑かったので、コンビニでガリガリ君を買って食べた。そうしたら何
と当たりバーを引いた。くじなど今まで当ったことがなかったので、こん
な些細なことでも非常に嬉しかった。

私は「当たりバー」を強調したいのですが、コンピュータにそんなことは分かりません。そこでコンピュータにも「当たりバー」が強調箇所だと分かるように、それを<em></em>で囲む、これが本来のHTMLのあり方です。そして<em></em>で囲まれた「当たりバー」は強調であると検索エンジンが認識するので、「当たりバー」で検索されたときにそのページが上位に表示される可能性が高まります。要するに、重要な箇所をem要素でマークアップしたから検索結果で上位に表示されるようになるのです。

これを知らずにSEOに手を出すと、検索エンジンで上位に表示させるためにem要素でマークアップするという、原因と結果が逆の事態になります。そして、検索結果で有利になりたいために何でもem要素やstrong要素でマークアップしてしまうことになります。その後「strong要素の使いすぎで検索エンジンスパムに認定されないだろうか」などと要らぬ心配をするのです。SEOという言葉だけが独り歩きしこのような誤解をする人が増えているから、私は「SEOをやめよう」と主張するわけです。

よいHTML / よくないHTML

何がよくて何がよくないのかを整理しておきます。

よいHTMLの作法と文章術

タイトル(title要素、h1要素)にキーワードを含める
タイトルは文章の要約ですから、文章の内容を表す単語を含めましょう。このページであれば「SEO」です。(検索エンジンはタイトルの語句を重要とみなします。)
文章にキーワードをちりばめる
重要なキーワードは文章中で自然とたくさん使われるはずです。このページは「SEO」に関して述べたものなので、「SEO」が10回使われています。(検索エンジンは繰り返されている言葉をキーワードとみなします。)
重要な箇所をem要素やstrong要素で強調する
自分が強く言いたい箇所は強調を表すem要素やstrong要素としてマークアップします。(検索エンジンはを強調されている箇所を重要とみなします。)
重要なことを先に書く
読者が文章の要旨をつかめるよう、重要なことを先に書いておきます。このページでは最初の段落で「SEOをやめよう」と述べています。(検索エンジンは文書の先頭にあるフレーズを重要とみなします。)
同義語を並べる
GIFアニメ(アニメGIF、アニメーションGIFとも呼ばれる)といったように、同義語を括弧の中に列挙します。(どの語で検索されてもヒットするようになります。)

このように自然に文章を書いてゆき、普通にHTMLを使えば自然と括弧の中に書いたようなSEOを行ったことになります。特別なテクニックは不要です。

よくないHTMLの作法

重要でもないのにem要素やstrong要素で強調する
上で書いたとおり、「検索順位を上げるために強調要素を使う」では本末転倒です。
検索結果を上げるために○○要素を使う
em要素やstrong要素に限らず、検索結果を上げるために使う要素を選ぶのはやめましょう。「○○要素(○○タグ)を使うとSEOになります」こんな説明を見かけたら、「この人HTMLを分かってないなあ」と思いましょう。

論外(スパム)

背景色と文字色を同じにして単語を書き連ねる
<div style="color: white; background: white;">
SEO SEO SEO 検索エンジン 検索エンジン …
</div>
最悪です。これは検索エンジンにスパム(迷惑行為)と認められ、検索対象から削除されるかもしれません。こんなことを行う人はいないと思いますが。

検索順位の上昇は目的ではない

検索順位を上げるのは閲覧者を増やすためです。閲覧者を増やすのは、自分のサイトの人気を上げて、サイト運営を楽しむためです。検索結果で上位に表示されても、内容がつまらなければすぐに「戻る」ボタンをクリックされてしまいます。検索順位が上がったって人気が出なければどうにもなりません。大切なのはやっぱり内容の充実です。

おまけ

アクセス向上に関するページはたくさんありますが、以下のページは面白いと思います。

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