ブログ文化はウェブに相当浸透した。たとえブログ文化に触れずとも、「ブログ」という単語は誰でも知っている。しかし、このブログ文化はどれほど続くだろうか。後2、3年は続くのだろうが、その先は分からない。また、ブログ文化を知らない人がまだたくさんいることも事実である。ブロガーは、英語が世界の標準語であるようにブログ文化がウェブのスタンダードであると勘違いするきらいがあるが[1]、増えたとはいってもブログ文化はウェブの一部なのだ。以上の二点から次の結論に達する。ブロガーは、ブログのスタイルに依存したマークアップをできるだけ廃止し、普遍的に通用するマークアップを心がけるべきである。
一般的なブログのマークアップの仕方を見てみよう。まず、ブログのトップページにはブログのタイトルがh1要素としてマークアップされ、その下に最近書いたブログの記事がずらっと並ぶ。各記事のタイトルはh2要素やh3要素などでマークアップされ、クリックすると記事固有のページへ移動できるようリンクが張られている。記事固有のページでもh1要素がブログのタイトルであり、ブログのトップページへリンクしている。各記事のタイトルはトップページと同じく h2要素やh3要素であり、自分自身のページにリンクしていることもある。その下に記事前文が表示され、コメント、トラックバックと続く。
さて、もしブログ文化が存在しなかったら、このようなマークアップ方法がありえただろうか。では、ブログ的マークアップの例を順番に検討する。
まずはトップページ。h1要素がブログのタイトル、これはよし。しかしこのタイトルにブログのトップページ、つまり自分自身へのリンクを張るのは大きな過ちである。クリックしても同じページに戻ってくるだけ。こんな馬鹿なことはない。全く必要ないのだから、リンクすべきではない。
各記事のタイトルは記事固有のページへのリンクとなっていることが多い。始点アンカーと終点アンカーが適切に関連付けられており、マークアップ的には何の問題もない。しかし、私はこれがあまり好きではない。記事固有のページへリンクしているならそうであると明記するほうがよいと思う。私は「この記事のURI」を表示し、それ自体をアンカーにしている。
タイトルではなく「パーマリンク」「permalink」[2]などの文字列にリンクが張られている場合も多い。これは駄目。「パーマリンク」って何よ?この単語が理解できるのは「各記事には固有のページが存在し、そこへのリンクをパーマリンクと呼ぶ」ことを知っている特定の人間だけである。それに、ハイパーリンクが支点アンカーと終点アンカーの関連付けであることを思い起こせば、このようなリンクは考えられない。リンクの始まりが「パーマリンク」、リンクの終りが「ほにゃらら記事」、「パーマリンク」と「ほにゃらら記事」には何の関係もない。
いまだに、「●」や「■」が固有ページへのリンクになっているブログもあるが、これは最悪である。「●」をクリックしたら記事固有のページへ移動するなんて、誰が想像できよう。もちろん、リンクの始まり「●」とリンクの終り「ほにゃらら記事」には全く関連性がない。「●」が固有ページのリンクとなれるのは、その記事が「●」について述べている場合だけである。
「続きを読む」をクリックすると、記事固有のページの途中へ移動するようになっている。これは一見問題なさそうである。リード文を読んだ後、興味がわいたら「続きを読む」をクリックし、そうでなければ次の記事を読む。しかし、このような一連の動作を行うことができるのはブログ文化に慣れ親しんだ証拠である。ブログを知らなければ、「続きを読む」が「記事固有のページ」の「途中」へリンクしていると予想するのは困難なことだ。「続きを読む」ではなく、新聞社のサイトにあるような「全文表示」のほうが分かりやすい。
「コメント(1)」「トラックバック(3)」などの文字列にリンクが張られている場合、クリックすると記事固有のページのコメント欄やトラックバック一覧へ移動するようになっている。記事を読み終えた人が「コメント(1)」をクリックしてすぐにコメントを書き込めるなどのメリットはあるものの、「コメント(1)」が記事固有のページのコメントへリンクしていることはブログ文化を知らない者にとっては分かりづらいものだ。一長一短ではあるが、脱ブログ的マークアップを目指すならこれはないほうがよいだろう[3]。
次に、記事固有のページについて考える。まず、記事固有のページのtitle要素がトップページと同じくブログのタイトルになっているもの、これは駄目だ。ブックマークしたら何だか分からなくなるだろう。ブックマークに「なんちゃら日記」がずらりと並ぶ、もちろん訪問者はそれを避けるために自分でブックマークのタイトルを入力するだろうが、そんな手間をかけさせてはいけない。そもそも、title要素はその文書の要約である。しかるに、title要素の内容は「記事タイトル -- ブログタイトル」のようにすべきだ。このとき「記事タイトル」は「ブログタイトル」の前になっていたほうがよい。記事タイトルが長すぎてブラウザのブックマークメニュー(OR ブックマークウィンドウ)に収まらなくなったときに、記事タイトルの可読部分が長くなるというメリットがある。
h1 要素がブログのタイトルになっていてそれがトップページへリンクしている場合、これは殆ど問題ないが、まれにh1要素のロゴ画像が背景画像と見事に一体化しており、どこがクリックできるのかが分かりにくくなっていたり、クリックできることが気づきにくくなっているケースが見受けられる。あまりデザインに懲りすぎると、返ってアクセシビリティを損ねてしまうことがあるので気をつけたい。
記事のタイトルが自分自身のページへのリンクとなっているのは、先ほど述べたとおり堂々巡りの始まりになるので、あなたがどれほど再帰関数が好きでも、これは絶対に止めよう。
コメント欄に関してはあまり問題はないが、コメントを受け付ける数には上限を設けるべきだ。100くらいが適当だろう。ブログ炎上強制防止効果がある。記事固有のページを表示しようとしたらブラウザがしばらくフリーズした後、コメント欄を使ってしようもない論争が延々と繰り返されているのを見てうんざりした経験はないだろうか。
トラックバックはこれ自体がブログの産物である。ブログを知らない人は「トラックバック」の意味が分からないため、「トラックバック」の下に表示されているリンク一覧が一体何なのか理解できない。「この記事へ言及しているサイト一覧」などの説明をつける必要がある[3]。(しかし、言及していなくてもトラックバックを打ってくる人がいるので、何ともしがたいところがある。)
最後に、ナビゲーションについて述べる。カテゴリ名をクリックすると、普通はそのカテゴリに属する記事がトップページと同じように表示される。記事が少ないうちはいいのだが、そのカテゴリに属する記事が50、100と増えたとき、読み込みに時間が掛かる。私は今日あるブログのカテゴリ名をクリックしたところ、Firefoxが数MBのデータを処理し始め、1分間「応答なし」になった。このような事態を避けるために、カテゴリ名をクリックしたら、そのカテゴリに属する記事のリストが表示されるようにするとよい。月別のアーカイブも同じである。(試しにこのサイトのカテゴリ名をクリックしてください。)
「最近のコメント一覧」「最近のトラックバック一覧」などは本当に必要だろうか。必要ないものを表示するのは混乱の元である。もし、あなたのブログ以外で「最近のコメント一覧」「最近のトラックバック一覧」があなたの役に立ったことがなければ、あなたのブログの「最近のコメント一覧」「最近のトラックバック一覧」も訪問者の役に立ってはいないだろう。そうならばそれらは消してしまうべきであろう。
カレンダー、日記サイトならあってもよさそうな気がするが、これは全く不要である。「誰々さんの何月何日の日記が読みたい」と思ってそのカレンダーの日付をクリックする人が、はたしてどれだけいるだろうか。私は一人もいないと思う。多くのブログサービスで様々なプラグインが提供されているが、このように全く役に立ちそうもないプラグインを使ってはいけない。
以上、蔓延しすぎたブログマークアップへの不満を、半ば勢いに任せてぶちまけた。これを読んだ人はぜひ自分のブログの構成を見直してほしい。また、当ブログの知名度の低さを補うために、これに賛同してもらえる方はこの文書を積極的に紹介してもらいたい、と無理なお願いをしてみる。
2008年5月14日
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